東京日記を書いていなくて過ぎ去った日々

12月18日

品川プリンスホテルにチェックイン。荷物を整理して、少しまったりする。
今夜の約束は吉祥寺で、上京した友達と飲み予定。山手線で渋谷へ向かい、井の頭線のホームへ行く途中、岡本太郎の「明日の神話」を見る。行き交う人を見ながら「明日の神話」を写真に撮る。嘘っぽい日常に毎日在り続ける「明日の神話」。遠くから見た。何だか近づけなかった。どうしてだろう?快速に乗って吉祥寺へ向かう。少し時間があったので、吉祥寺駅周辺を散策。アーケードでは丁度年末ジャンボの売り出しで(最終日が19日だった)行列をなしていた。すごい…。あのとき並んでた人、当たりましたか?
友人と待ち合わせてご飯。いっぱい話した。飲んだし。おいしかったなー、ジャガイモのクリームチーズ乗せ。性別を超えて、年齢を超えて。こういう友達がいるのは大事。アタシは「ユメユメ」言うのはいいことだと思ってる。夢は叶わないことが終わりじゃない。夢を諦めたとき、初めて終わりを告げるのだ、と。終電前に別れを告げて帰った。

12月19日

品川プリンスホテルで目覚める。朝8時くらい。朝食はビュッフェ。独りで食べるのは少々抵抗があったけど、国際色豊かな東京のホテルの朝食は和洋中様々。素敵。クリスマスも近かったので大きなツリーがあった。東京は狭いイメージだけど、空間利用が上手で天井が高いからか広く感じたし、開放的に感じた。チェックアウトを済ませ、一旦東京駅に向かった。荷物をコインロッカーに預けた。東京駅から中目黒に向かった。今日は東京最終日。魂の片割と会う約束をしていた。

待ち合せより早く中目黒に着いた。一応メールしてみる。絶対寝てると思ったから早めにメールしといた。待ち合せの時間になっても来ないから絶対寝てると思って電話した。「ごめーん、寝過ごしたー」かわいい。彼が来るまで中目黒をプラプラした。本屋を捜したけど、見つけれなかった。近くの中目黒GTの中に図書館があったから、そこで時間を潰すことにした。子供がいっぱいいて、何かの発表会なのかな?パーティードレスを着たちびっ子たちが花束を持ったりしていた。かもめ食堂をみつけて、読んでいた。一冊読み終わった。その間、今電車に乗ったよ、とかもうすぐつくよ、とか本当にごめんねとメールが届く。かわいい。電話が来て「着いたよ」と言ったので階段を登ると、違う方向を向いてアタシと受話器越しに話す魂の片割を見つけて、声をかける。軽くハグを交わして、ご飯に向かう。もう3時だったけど(笑)彼は昨日職場の送別会だったようで、朝まで飲んでいたそうだ。少し痩せて、少し髪の伸びた彼は、相変わらず印象的な大きな目をしていて、「嗚呼、彼だな〜」と思って嬉しくなる。大遅刻だったけど全然ムカつかないし、むしろかもめ食堂読破させてくれてありがとうと思った。ご飯は近くのカフェで食べて、ランチタイムから机にキャンドルが置かれるまでひたすら喋った。12月の始め、多摩美の同窓会というかそーゆーのをしたよーと話してくれた。映画の話も恋人の話も、仕事の話も色々した。
お店を出て、中目黒の街を歩く。「どこに行きたい?」と聞かれたから「う〜ん」と言ったら「本屋さんへ行こう」と言ったので、嬉しかった。独りで本屋さんを探しても見つけられなかったのはこうして彼と行くためだと思った。彼が連れて行ってくれた本屋さんは古本屋さんで、思い思いの本を手に取り読んだ。その中に大学のときの先生だった鈴木志郎康先生の詩集を発見。購入。先生の詩集、何よりも装丁が気に入った。
もうすぐ新幹線の時間になってしまった。だから店を出た。駅まで歩いていたら、彼が「遅刻したお詫びに」といってCDをくれた。キリンジのベスト。今でも聞いている。中目黒の夜はよい。
駅で別れた。その後クリスマスカードを渡すのを忘れてしまって、もう一度彼に会う。改札をくぐって、もう一度戻る。実に寂しい瞬間だった。

新幹線に乗る。帰りの電車の中で詩集を読み、一緒に買った安部公房の文庫も読む。その日のうちに地元に着き、知人のお店で軽く晩ご飯でも、と思いお店に入ったら、見覚えある面々がずらり。一気に日常にワープ。濃い一日だったー。
もう一度、東京に住んでもいいかな、なんて思ってみたり、地元はいいな〜って思ってみたり。どこにもいれないような、どこかにいたいような。でもアタシは今のこの距離だから保っていられるものがたくさんあると思った。愛する人々が傍で、遠くで生きている。今いるところが最高だと思う。この旅で大学進学をより現実めいた決意のように思った。東京のご飯はやはりあまりおいしくはないと思った。お母さんが作ったご飯の方がおいしい。お母さんは料理上手ではないけど、例えばおいしくするスパイスは家族と一緒に食べるご飯だったり、じいちゃんが丹誠込めて作った野菜だったり、自分の田んぼでとれたお米だったりするからなのかもしれない。何もかも手に入る場所で、なんにもない不便さを喜ばしいと思う。とりあえず自分の好きな人たちに家に来てもらってご飯を一緒に食べたいと思う。一番食べてほしいのは魂の片割と、小指値改めFaiFai面々かな。こんなことを思ってるなんて伝えてないからわからないけど、いつか公演を見に行きたいし、「ありがとう」と「ごめんね」を伝えたいと思う旅だった。また会いたい人が増えた旅だった。

好きなことはやめられない。